6


 田村さんと玄関口でお別れする。


「――本当に気をつけて下さいね。」


 彼は終始、訝しげな目をしていた。多分、私のさっきの発言を疑っているのだろう。


 ――いや、私がおかしいんだ。


 ストーカーを怖がっているのに、警察に通報しない所とか。


 私がいないとストーカーはどうなるんだ、ってどこか彼を試して遊んでいる所とか。


 それに比べて、冷静にストーカーを対処している田村さんが正常なんだ。



 深夜。

 ――寝ようとしても眠れない。


 さっき田村さんとストーカーについて話して、よりストーカー被害の現実味が増した。


 これから何されるか分からない恐怖が胸を渦巻く。


「やっぱり、警察に通報したほうが、いいのかな……?」


 でも、本当に被害に遭ってからじゃないと警察は動いてくれないっていうし……。


 んんー。


 にしても、ストーカーは私のどこがいいんだろう。

 顔可愛くないし、勉強はまあまあ出来るけど、運動は得意じゃないし、暗いし、友達いないし。おまけにクラスメイトに無視されるといった、軽いイジメにも遭ってるし。


 きっとひとりぼっちが良いんだろうなぁ。


 そんなことを思っていたら、いつの間にか眠りに落ちた。



 ――朝起きて、ポストを見に行くと一通の手紙が入っていた。


 裏面には。


『死にそうなくらい可愛い唐澤乃悠さんへ。』


 表面には。


『世界一、君のことを愛している俺より。』


 と書かれていた。


 ――キモ! 名前教えた覚え、全く無いんだけど!!

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2024年9月27日 19:02 毎日 19:02

君を離さない 依奈 @sss_469m

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