第27話
「急いでシャワー浴びてきたつもりだったけど、紬葵があまりにも無防備に肌晒して爆睡してるもんだから─…イタズラしちゃった」
イタズラ、なんて可愛いものではない。触れるようなキスなんかじゃなく…呼吸をも奪うような深いディープなキスで、、
「寝てる女、抱く趣味はねぇから…なんとしてもツムには起きてもらいたくて」
彼が私の顔の横に手をついたところでベッドは軋むような音を出したりしない。それほどまでにこのベッドは大きくて…人ひとり動いたところで音を上げるほど脆い造りでは無いらしい。
「…あれ?余裕そーだな?もしかして…こーいうの慣れてる?」
セットされていた髪は水に濡れて無造作に下ろされ…色っぽさが増した彼のその前髪から雫がポタリと降ってきて、その近い距離感に胸がドキドキする。
「じゃ、俺…マジでこれから紬葵のこと食っちゃうけど…いーんだよな?」
お互いほぼ裸みたいなこの状況下で最後に確認してくれる彼は─…いい人なのかもしれない。だって本当に最低で悪人のような人なら…そもそもシャワーを浴びておいで、なんて言ってくれないだろうから。
それに……自分もちゃんとシャワーを浴びてから私に触れようとしてくれていることには、とても好感が持てた。
微かに震える指で…身体に巻き付けていたバスタオルの結び目を外し、、彼が触れることを許可するという意志を示した。
それを見た彼は口角をあげて怪しく笑うと、パンっと一度大きくて手を叩いてみせた。まるでそれが合図かのように、少し明るめだった部屋の照明がムードある暖色の間接照明に変わる。
手拍子で照明を変えることが出来る世の中になっていたなんて、昨日まで知らなかった。
「記念すべき初夜、ってことで。いっぱい気持ちよくシてやるから、力抜いて?ってことで…いただきま〜す」
まだ何もはじまっても居ないのに…既に身体が熱を帯び始めているのが自分でも分かる。この人にこのまま抱かれて平気だろうか?うっかり好きになんてなってしまったら大変なことだ。
新次郎さんの指がバスタオルの結び目が解かれた部分に触れ…ゆっくりと私の身体からタオルがズラされていく。
隠されていた私の身体が徐々に露になっていき羞恥心から目をギュッと閉じてしまった私の耳に届いたのは─…
「……巨乳の美乳とか、マジで最高」
という、新次郎さんの嬉しそうな声で。どうやら第一関門を突破出来たようで少し安心した。
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