第26話

寝室、と言われた部屋はすぐに見つけることが出来て…ドアを開いてみるとまず視界に飛び込んできたのは大きなキングサイズくらいあるベッド。




その大きさに圧倒されつつ足を踏み入れて部屋の中をウロウロと徘徊してみるけど…勝手に物に触れるのもどうかと思い、大人しくベッドの上で待たせてもらうことにした。




──…しかし、、




ゴロンと、一度横になってしまえばその瞬間から猛烈な睡魔が襲ってくる。待ってろ、と言われたのに寝てしまうなんて人としてどうかと思うけど─…色々あったし、、疲れた。





起きてようという気持ちと、このまま眠りたいという気持ちの狭間で目を閉じたり開いたりしながら天井を見つめていたつもりが─…




いつの間にか意識を手放してしまって居たみたいで、寝心地のいいフワフワのベッドの上ですっかり深い眠りに落ちてしまっていた。





──…っ、苦しい




どのくらい意識を手放していたのか分からないが、時間にすればおそらく数分だと思う。深い闇に堕ちるように目を閉じていたはずが─…



寝苦しい、とかそういう意味ではなく本当に呼吸が出来ないという意味での苦しさで一気に現実に引き戻された。




「…っ?!んんっ、ん〜…、」




瞼を開いて驚いたのは、目の前に新次郎さんのドアップが視界いっぱいに映ったから。そして徐々にいまのこの状況を理解してきたのですが




──…どうやら今、キスをされているらしい






「…っ、あ…おはよ、紬葵」




私が目を覚ましたことに気が付いたのか、唇が解放され…ホッとしたのも束の間─…身体を少し起こした彼が半裸であることに気がついて思わず目を背けた。

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