第30話

「お困りですか?」


流れ星が願いを叶えてくれたから


『…え?な、何で?』


優しく微笑んだ冬弥がそこにいるから


「会いたかったから来ちゃった」


『来ちゃったって…』


「ちょうど帰ってきた姿見えて、声掛けようと思ったんだけどあまりにも真剣に願い事してるからちょっと眺めてた」


言葉が出てこない


嬉しい反面、気まぐれに振り回されてるんだって抑止


騙されればよかったなんて思ってたくせに、やっぱり騙されたくないなんてまた考えて


頭の中がゴチャゴチャしてきて出てきた言葉



『叶った…願い事…』


「ん?俺に会いたいとか思ってくれてた?」


おちゃらけて笑う冬弥を黙って見つめるしかなかった


「…何その上目遣い。反則」


『そっちのほうが反則。こんな時に会いに来るなんて…』


「ごめん。曲作りとかMV撮影とかで忙しくてさ。連絡すると会いたくなっちゃうから我慢してた。でもこれなら、我慢する必要なんかなかったかもな」


そう言って頭を撫でる

大きく優しい手で


「友梨。車乗って」


『へ?』


いい雰囲気だったのをぶち壊して手をひかれる


『ちょ、え?』


私と紙袋を後部座席に突っ込むと、行き先も告げずに車を走らせた 


『どこ行くの?』


「これでも週刊誌に追われる身だからさ。我慢して?」


週刊誌?

記者とかが周りにいたってこと?


『え、大丈夫?私帰るよ』


「あの流れで帰すと思う?」 


『…いや、えっと…』


静かに笑った冬弥は、私をからかうように楽しんでいた

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