第28話

両肩に紙袋の紐をいくつも持って歩く


ブーティーのヒール音を響かせながら秋風の気持ちいい夜道を歩いた


家を目前に、ふと見上げた夜空の星が異様に綺麗に見えることに気が付いて足を止めた


『うわ…綺麗』


月はまん丸で大きく、星は1つ1つが大きく輝いていた


そのとき、1つの流れ星がキランと一瞬輝いた


『え!嘘、流れ星!?こんな都会で!?』


コートのポッケからスマホを取り出して調べると、丁度今の時間帯に流星群が見られると情報が出てきた


『流星群!また見えるかなぁ?』


流れ星を待ってその場に留まった


中々流れてこない流れ星


流れ星が見えることを祈って手を組んだ


『って、流れ星が見えますようにって願ってどうするの』


実際私は流れ星に何を願うんだろう


特に決めてないけど…


『あ!流れ星!』


今はやっぱり…




"冬弥に会いたい"




それしか出てこなかった


『虚しい…』


あれから連絡もないし、きっともう会うこともない


本気で私を好きだったんだとしても、ただの気まぐれ


私がダメなら、他にいくらでもいる


本当にズルイな


こんな気持ちにさせておいて…


騙されれば良かったかな


あのとき誤魔化したりしないで、騙されれば良かったのかな


悲しい気持ちが胸を締め付けた

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