第5話

2日後、そんな私の運命を変える出来事が待っていた


いつもと同じ、朝の出勤ラッシュ


今日は週末ということもあってか、いつもよりも混雑していて、私はドアの端に追い込まれるように立っていた


途中駅のドアが開くと更に多くの人が乗ってきて、嫌気が差すほどのギュウギュウ加減だ


私の斜め後ろに大きなランドセルを背負った小学1年生ほどの男の子


大人達にもみくちゃにされてギューと目を瞑っている


私は手を伸ばしてその子を自分の前、ドアの端に避難させた


なるべく潰されないように足に力を入れる


「おねーちゃん…ありがとう」


『どういたしまして』


今日に限ってお気に入りのピンヒールにタイトスカート


もう立っているのがやっとと思い出した時、後ろからの圧力が凄く軽減された


『…あれ?』


振り向くと、私の後ろには大きなサングラスに深めに被ったキャップ、鼻まで覆い尽くされたマスク姿の人がいた


この前の…風邪の人


もしかしてお礼に守ってくれてる?


風邪治ったんだ


私はその人に笑顔で少しお辞儀をした

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