第11話

「女神には沢山聞きたい事があるのだが、今日は辞めておこう」


「あ…、今日は本当にありがとうございました。」


女神は深々と頭を下げた。


「謝る必要はない。女神と知り合えたんだから今日は素晴らしい日なんだから」


「いえ、後日御礼させて下さい。私に出来る事ならなんでもしますので」


「……何でも?」


「はい、出来ることなら」


「わかった。今日は帰る。連絡先だけ教えてくれるか?」


「はい、勿論です。」


そしてRINEをそれぞれ交換し、俺は女神の部屋を後にした。


風の無い夜。マンションの入口でたった今別れた、女神の連絡先が表示されたスマホを胸に抱きながら、俺は明かりのついた女神の部屋を見つめ続けていた。

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