第6話

今日も代わり映えのしない一日が過ぎた。

毎日、数字を見る生活。

会社を出て、駅までのオフィス街を歩く。

周りは仕事終わりのサラリーマンがたくさんだ。

皆、クタクタになりながらも自分のため、誰かのために働いているのだろう。


今日もあの広くて人の気配がしない家に帰るだけ。

そう思いながら何となく、周りを見渡す。


すると、オフィス街の真ん中、道路の向かい側にある小さめの広場のベンチに俯いて座っている女の子がいる。

遊具もなく、ベンチと花しか植えられていないその場所は彼女以外、人の気配がしない。


誰かを待っているのか、疲れているのか普段なら

気にしないのに何故か、吸い寄せられるように彼女に

近付いて行く俺。


道路を渡り、公園に入り彼女の前まで歩みを進めた。



ジャリ、革靴が地面の小石を踏む音に気付いたのか、

それとも人の気配に気付いたのか、彼女が俯いていた顔を上げた。


と、その瞬間、


俺のハートは撃ち抜かれた。

頭のてっぺんから雷が落ちた。

俺と彼女以外の世界が止まった。


今この瞬間、俺達二人の周りを小さな天使たちが祝福して踊っている。


俺は呼吸をするのを忘れていた。

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