第32話
「あ、ごめん。何か羽織るね?」
なんだか急に恥ずかしくなって早口に答える。
明良くん、あんな爽やかイケメンで王子様みたいな外見なのに案外女の子慣れしてないんだ?
中身は天真とは真逆だな。でも天真も厚生するって
言ってたけど、まだまだ信じきれないしな。
そう思いながら薄手のカーディガンを羽織った。これも明るいグレーでシンプルだけど着心地が軽くて動きやすくてお気に入り。
ちなみにこれはお兄ちゃんからのプレゼント。
どこかのブランドのものなんだけど、シンプルなのに可愛くないお値段だ。お兄ちゃんはあたしと出かける度に何かプレゼントしてくれる。仲良すぎてカップルに間違われる事ももう何度あったかわからない。
そんなお兄ちゃんはあたしの自慢だ。
優しくて、かっこよくて、家族思いの素敵なお兄ちゃん。
「ごめん、何か俺きもいよな」
少し気まずそうにそう、呟く明良くん。
「そんな事ないよ、こっちこそ、男の子がいるのに
配慮足りなかったよね?ごめんね?」
「いや、嬉しいんだけど、どうしても目がそっちにいっちゃって落ち着かないから」
顔がだんだん赤くなっていく明良くん。そしてそれが伝染したようにあたしまで少し赤くなってくる。
(っもう、明良くんピュア?)
そんなあたし達二人に、またしても美香が
「だから二人だけの世界に入るなって〜」
っと笑いながら言った。
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