第5話
その後の講義はあまり集中出来なかった。
苦手な外国語の講義が2つもあったのに。
天真が雰囲気違いすぎたせいだ。あんなに人気だった彼だ、振られるって事がなかったからもしかして、
プライドを傷付けてしまった?
まぁ、すぐに忘れてもとの日常に戻るだろう。
彼の涙を流す姿が心の端っこに引っ掛かったままだったけど、無理矢理、心の中に押し込んだ。
(もう今日はバイトもないし、真っ直ぐ帰っちゃおう、何か疲れた)
いつも通り同じ時間に終わる美香と大学の中庭で待ち合わせしていると、少し前の方から天真が走って来た。
(何か今日はよく会うな、付き合ってた時は丸一日会わない時もあったのに)
「---天音っ!」
あたしの前まで来て、膝に手を付いて少し息を整えている天真。
「天真、まだ何か用事?」
「少し、話せない?」
「ごめん、無理。話す事ない」
「っ、お願い、少しだけでいいから」
「美香と帰るから無理だよ」
「なら夜部屋行ってもいい?どうしても話したいんだ」
引かない天真。彼ってこんな感じだったっけ?
キラキラしてる天真は黙ってそこにいるだけで目立つから正直、この状況は困る。
(どうしようかな、美香はまだ来ないの?)
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