第2話

そんなやり取りがあった日から2日後。

月曜日、今日はお昼から講義だったからゆっくり家を出て大学内の色とりどりの花が咲いている木陰にあるベンチに座って日光浴中。

ここは静かであまり人もいないあたしのお気に入りの場所。花は、綺麗に丁寧にお世話されているので、

誰かが頻繁に来ているはずなのに誰も見かけたことが無い。

まあ、静かだからいいんだけど。

そんな風に座って無心になっていた時、




「    天音っ!!!」


誰かの呼ぶ声にびっくりして目を開けた。

そこには、数日前に別れを告げたクズの元カレ、一条天真(いちじょう てんま)が息を乱しながらこちらに向かってきていた。



(な、なんで天真がここに??)

額の汗を手の甲で乱雑に拭いながらあたしの横まで来てベンチに遠慮なく腰掛けた天真。

いつも、へらへらにこにこしていた彼とは違いなぜだか焦りさえ見える表情の彼に、眉を寄せ怪しんで見ているあたし。

心地良い天気の下、お昼休み中の憩いの場に似つかわしくない雰囲気の男。



(な、なんなの?)

「どうしたの、天真?何かあたしに用があった?」

ため息を吐きながらあたしは言った。

あ、思いの外、冷たい態度になっちゃった。

まぁ、いっか?もう別れたし、向こうも遊びだったんだし?



そんなあたしの発言に酷く傷付いた表情を見せた

天真。


(な、なにその表情、)

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