第31話

あたしの目線に合わせるようにしゃがみ込んで、膝に頬杖を突くその姿。


中に着た黒Tシャツ、白シャツ、そしてベージュのカーディガン。


今日は大分、気温が高い。


なのに、汗一つかいてる様子が見られない……。


じ、と見てしまったからか、




「トップも気になるの?」



「え?」



「俺の身体」



「かっ、身体!?」




さらり、と言われ、思わず首を振って、そのまま尻もちをつくと、アカネくんは、「嘘」と。




「見てた」



「みっ、見てないです…!」



「見てたよ、わかるもん。いろんな人が、俺の厚着を気にしてる」




アカネくんが頬杖をついたまま、片方の手で、袖を伸ばす。


遠い目で、その袖の先を見つめた後、ぽつりと、





「………トップはどっちかなぁ」



「…?」



「引くのかな、見たくなかったって言われたら怖いなぁ」



「……あかね、くん?」



「でも、引くのが当たり前かなぁ」



頬杖を解き、アカネくんがあたしを見る。


何かを試すように、少しだけ、警戒するように。




「ねえ、試してみる?」



「……、」



「トップが光になれるか」

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