第30話

「闇に一筋の光って…とても安心するでしょ?」



「……し…ます」



「そういうこと。トップはね、そういう存在になれると思うよ」



アカネくんは、やっぱり流石だ。


なんでも見抜いていて、なんだかナツキさんのことが頭を過ったけれど、




「………な、れ…ます……か……?あたしに……」



「なれるよ」




アカネくんのそれは、あの人と違って、とても温かい。




「努力、したいです…」




へら、と笑って、見せれば、アカネくんは一度、瞼を上げて、




「そんな風に言うと思ってた」




そう言って、微笑むように笑った。



え……、



「っ!?!?!」



頬から手を離されたあたしは衝撃のあまり、表情が固まった。





「?、どうしたのトップ」



「………あ、あか、あかか……っ!?」



「あかか?…ああ、おかか?」



アカネくんって、微笑むんですか!?!?!?!




「そんな人間味のある表情……初めて見ました……」



「どうしたのトップ…?大丈夫?そんなとこに四つん這いして。急におかかとか言い出すし」



「す、すみません……衝撃のあまり腰が抜けて……」



「そんな衝撃どこにあったの?」



「アカネくんの顔の中に……」



「え、何?ブサイクってこと?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る