第27話
「っあ、あかねくん…!?」
「さてトップ、どこ行く?家庭科室?保健室?体育館?屋上?校庭?どれがいい?」
「えっ?ええ?」
引き摺られたまま訊ねられて、訳もわからないまま。
「ほら、早く答えないと爆発しちゃう」
「!?」
なっ、何が!?
「はい、さん、にー、いー、」
「お、屋上!!…でっ」
「はーい」
ぎゅいっ、と方向転換して、アカネくんはあたしを腕と身体の間に挟むようにして持ち上げ……、
「……無理だ」
られなかった。
「すっ、すみませんっ、あ、あたしが重いばっかりに……っ」
というか、ちゃんと歩きますから、離してくださいぃぃいい!!
なんて祈るような気持ちで、手のひらを合わせていたら、
「やっぱ、俺…筋トレした方がいいのかな……」
「……へっ…?」
き、筋トレ……?
「でもなー…めんどいなぁ…マッチョになるのやだしなぁ」
ぶつぶつ言いながら、アカネくんはあたしを下ろしてくれた。
…けれども、強引と言われてもおかしくないくらい、ぐいぐいとあたしの腕を引っ張っていき、
その場所へと辿り着いた。
「はい、ついた」
「ぁ…、はい……」
一仕事終えたぜ、と言わんばかりにあたしの腕を離し、額を拭う。
その顔は無表情で、動きと全く合っていない。
ぶわっ、と顔に勢いよく風が当たり、思わず目を閉じる。
アカネくんがドアを開けたのだと思った後、あたしはなんとなくちょっと前のことを思い出した。
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