第7話

「……え」



「強いんだっけ、お前」



「いや……」



「強いですよー、俺に勝つくらいには」




緩い声が聞こえてきた。片柳が口を挟んできたのだ。


アイツ、やっぱりずっと聞いてたな。……ゲームしてるフリして。


若干目を見張った冬馬さんの顔が、ニヤリと歪む。





「へーえ…?」



「………」



少し口端を上げる冬馬さん、少々嫌な予感がして、背中が硬くなる。





「大体、俺が〝答え〟を語らなくても、粗方調べてんだろ」



「………それは、」



「言わば〝確信〟を持つためにここに来ただけ、だな」




フン、と見透かした顔で笑う。


少し眉を顰めたら、「やっと動かしたな」と、




「ただの無感情ヤロウかと思ったぜ」



「!」



「じゃ、ちょっくら風呂入ってくるから待ってろよー」



「いや、あのっ…」



一方的に話を進めてスタスタと部屋を出て行った冬馬さんに、俺は何も言えず。


引き止めようと少しだけ浮かしたままの手を見ながら、なんとも言えない気分になる。



何故なら、




「(まだ何も答えてもらってない)」



「ねえねえ、水波って、なんで黒に入ろうと思ったの?」



「……いきなり横に立つなよ」

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