エピローグ
-1
俺は、結局最後まで何も出来なかった。
助けることも、救うことも……。
あのとき、俺が死ねばよかったのに。
そう叫んでも、叫んでももう届かない。
棗も聖ももう戻ってはこない。
「……棗、久しぶりだな」
あれから一年たつ。
棗は、今でも自分自身を呪い続け、あの病院のあの屋上に留まっている。
もう話しは通じなくて、何度も何度もあの場所から飛び降りるだけ。
俺は、ただそれを見ていることしか出来なかった。
聖は、俺の中からそれを見て嘆いた。
そうして、棗を助けられない自分を呪い続けるんだ。
――悠志……おまえの言う通りだったよ。結局、俺は無力で、呪いを止めるだとか、誰かを助けるだとか、そんなこと出来なかった。
それどころか、棗と聖すら守れずに死なせてしまった。
苦しくて、苦しくて……ああ、きっとこれが、俺の受けた仕返しなんだろう。
大切な人が苦しむ姿を見続け、嘆き悲しんで、それでも生きていかなくてはいけない。
それこそが呪い。
そう……俺の中でくるくる回り続ける、呪いの螺旋。
(了)
呪い遊び 佐織えり @Saori
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