第28話
トラくんが冷たい声で言う。
リュウくんと同様、優しい声色が、彼女と話す時は、低く冷え切っている。
女の子に対して、こんな態度をとることがあるのか。
リュウくんもトラくんも……、初めて見るそれが、珍しくて、有り得なくて、
少し、怖くて、
二人のことを、酷く遠くに感じた。
「はぁ~あ、わかりましたよー。あー、怖い怖い。マツキタの人らってこんなに怖いの?ナツキ、初耳ー」
「………」
「この辺の高校の中じゃ、優しくて温和な方だって聞いてたけど、嘘だったのかなー」
くるり、と。踵を返す。
「ま。また会う機会もあるだろーし、今回はこの辺でかーえろっと。偶然会えただけでもいいしねー。じゃあ、またね?小野町クン。邦木クン」
その細い指先がこちらに向かって、軽く振られる。
振り返った綺麗な顔についたその口は、
「八依クンにもよろしくね?」
最後にミクさんの存在をチラつかせて、ナツキさんはその場を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます