第27話

「だいったい俺は仲間思いでも優しくも偽善者でもねーよ。つーか、俺はいい人でもねーから善良でありたいと思ったこともねーわ。偽る以前の問題だわ」



嘘偽りなく、と言った感じで、


さらりとそんなことを言ってのけるトラくんに伊吹は呆れた顔をして「最低」と呟く。


勿論それに気づくことなく、トラくんは目の前に立つナツキさんを見下ろしたままだ。




「まー、アレだな。俺は面倒なことが大っ嫌いなんだよ。金にならないことはしねー主義だし」



「それが?」



「だから、アンタとこうやって話してる時間は、俺にとって最っ高にくだらなくて無駄な時間なんだよ」



「………」



「そして俺は今リュウと一緒にいる。つまりここにいる全員、時間を共有してんだ。…もう、言わなくてもわかるよな?」



「………」



「テメーとリュウとの会話は、俺にとっても無駄で胸糞悪い時間なんだよ。わかったらとっとと消えろ」

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