第34話
ただいまも言わず部屋に直行し、
布団に潜り込んだ。
眠れるわけがない。
目を閉じるとあの光景が甦るから。
結局一睡もしないまま
朝を迎えた。
「…いってきます」
転んだと嘘をつき、
目と口の横にバンソウコウを貼り玄関を出る。
玄関の前には
ヒロが立っている。
「え…どうしたの?こんな朝早くに…」
「迎えにきたんだよ!」
「え…なんで??」
「いいから早く乗れ」
ヒロはおでこに軽くキスをすると、
体を持ち上げて
後ろに乗せた。
「掴まってろ!」
ヒロから美嘉の家までは自転車で一時間以上はかかる距離だ。
ただでさえ学校だから早く起きなきゃならないのに…
ヒロ何時に起きたの??
心配してくれたんだ。
優しいね…。
学校へ行くと
アヤとユカは顔の傷を見て
目を見開いた。
「どうしたの?!」
声を揃える二人。
「転んだの!!」
「美嘉ドジなんだから、気をつけなよ!」
「は~い♪」
アヤの心配をよそに
明るくふるまう。
ヒロはそれから毎日学校から家までの往復を送り迎えしてくれた。
少しずつ
心の傷が消えていく…。
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