第33話
エリさんに傷を手当してもらい、
ヒロに自転車で家まで送ってもらった。
二人の間に会話はない。
でも今ね…
感謝の気持ちでいっぱいなんだ。
どこかもわからない場所を捜しあててくれて
自転車を投げ捨てて走って抱きしめてくれた。
ヒロが
安心をくれたんだよ。
ヒロの背中に強くしがみつき、
大好きだと…
実感していた。
家の前に到着し、
ヒロが差し出してくれた手につかまり
自転車から降りる。
「ありがと…じゃあまた明日ね…」
下を向いて帰ろうと背中を向けたその時…
「…待てよ」
美嘉の手を握り
引き止めるヒロ。
終わりを予感させる。
…そんな雰囲気。
もうヒロとは
ダメなのかな。
終わりかな。
「…ごめんね」
自然に出た言葉。
ヒロは美嘉の肩を両手でぐいっと掴んだ。
「謝ってんじゃねぇよ。俺美嘉と終わらせる気ねぇから。こんなことって言ったら言い方悪いけど、まだ好きな気持ち変わってないから。これからは俺が美嘉を絶対守るし、今日のことなんて忘れさせてやっから。犯人捜すから」
涙が溢れた。
今度は嬉し涙だった。
ヒロありがとう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます