第33話

エリさんに傷を手当してもらい、

ヒロに自転車で家まで送ってもらった。



二人の間に会話はない。



でも今ね…

感謝の気持ちでいっぱいなんだ。




どこかもわからない場所を捜しあててくれて

自転車を投げ捨てて走って抱きしめてくれた。



ヒロが

安心をくれたんだよ。




ヒロの背中に強くしがみつき、

大好きだと…

実感していた。




家の前に到着し、

ヒロが差し出してくれた手につかまり

自転車から降りる。




「ありがと…じゃあまた明日ね…」



下を向いて帰ろうと背中を向けたその時…




「…待てよ」




美嘉の手を握り

引き止めるヒロ。




終わりを予感させる。

…そんな雰囲気。




もうヒロとは

ダメなのかな。

終わりかな。




「…ごめんね」




自然に出た言葉。

ヒロは美嘉の肩を両手でぐいっと掴んだ。




「謝ってんじゃねぇよ。俺美嘉と終わらせる気ねぇから。こんなことって言ったら言い方悪いけど、まだ好きな気持ち変わってないから。これからは俺が美嘉を絶対守るし、今日のことなんて忘れさせてやっから。犯人捜すから」




涙が溢れた。



今度は嬉し涙だった。



ヒロありがとう。

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