第32話

混乱している頭を抱え、呆然としていると…




「美嘉ちゃん!」




背後から名前を呼ぶ声に体がビクッとし、


恐る恐る

後ろを振り向いた。




「…エリさん」




エリさんとは

ヒロのお姉さんの名前。



ヒロよりも四つ上で、

レディースの番長をしているらしい。



最初会った時はかなり怖かったけれど、

ヒロの家に遊びに来るたび仲良くなって今じゃ悩みを聞いてもらったり、メールや電話で連絡をとったりする仲だ。



美嘉にとっても

お姉ちゃん的存在。




「びっくりさせてごめんね。弘樹から聞いた。辛かったね。あたしも似たような経験あるし、女同士のほうが話しやすいよね?」



言葉を返すことが

出来ない。




「あ、無理して話さなくてもいいよ。いつか話せるようになったら話して?そいつの特徴とか、車の種類とか。あたしも昔それで犯人見つけ出したからさ。美嘉ちゃん傷つけた犯人、あたしと弘樹で必ず見つけ出してあげっから!」




エリさんの言葉を信じ、

目をギュッと閉じてPHSを手に取り

詳しく説明をした。




「白いスモークがかったワゴン車に、ナンバーは183*。四人の男で10代か20代…一人は前歯がかけてたような……」

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