第25話
そうして、あれよあれよという間に桜子は自動車に乗せられた。
このまま藤ノ宮家の屋敷に向かうと言われ、桜子はひどく狼狽えた。
予想外な出来事に理解が追い付かず、更には生まれて初めて乗る自動車はあまりに高級で、どうすれば良いのかさっぱりわからない。
緊張に身を固くしながら座席に腰掛ける桜子に白木は苦笑し、どうぞ楽にしてくださいと言うが、はたしてどうすれば楽になれるのだろうか。
現実逃避のようにそんなことを考えれば、その間に鈴鳴のことが説明される。
鈴鳴は藤ノ宮侯爵夫人の猫であり、とても大事にされていたのだと言う。
不注意で外へと逃がしてしまったが、桜子のお陰で無事だったことに侯爵夫人は大層喜んだそうで。
それで、特別に招待されることになったのだとか。
そんな話を聞いているうちに屋敷へと到着してしまい、桜子は本当の意味で逃げ場を失ったのだった。
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