第18話 惜しみなく
ダストンの猛攻撃は、鬼をかなり追い詰めていく。まさかここまでとは、ミーゴの体に入っていた時に感じてはいたが、それよりも遥か上をいく強さで、恐怖というのを鬼は初めて知った。その恐怖に反応を示したのが、左腕の赤色の方だった。赤は相手の精神面に強く反応するようにできていて、赤い竜巻の部分から触手のような赤い雷が、相手の胸にめがけて飛んでいく。そしてそれは、体内に入り込むと、その者の弱い精神の核に強く働きかけ、核ごと破壊してしまう。
そうなると相手は、戦闘態勢を保てなくなり、抜け殻のようになってしまう。そこを緑の力で
吸い取ってしまう、実はかなり恐ろしいパワーだ。
文字通り鬼は、生気を取られたように動かなくなった。命乞いをする仕草をかろうじて見せたが、ダストンは聞く耳を持たず、今までの怒りの全てを左腕に込めて、全身全霊で鬼に強烈な一撃を放った!
拳は、鬼の体を貫き、完全に動きを止めた。左腕は鬼を貫いたまま、竜巻の渦を強めた。すると巨大な体が渦に伴って回り始め、そのまま徐々に左腕は鬼を吸収していった。
完全に姿が無くなると、左腕の活動は終わった。ダストンはもう二度と左腕がブレスになる事はないと、直感的に思った。
厄介ごとの根源がいなくなり、ミーゴブレスの回収及び、宇宙の掃除業もこれでできなくなった。清々する気持ちと解放感からか、涙が流れた。でも本当は全てを無くした寂しさから流した涙だということは、本人が一番分かっていた。
共に苦をした左腕との今生の別れは、余計に寂しさを助長させた。
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