第16話
神官長は何やらぶつぶつと呟いていた。
「マリーベル様、至急迎えの馬車を呼びましょう」
「待つのだ、ニコライ。マリーベル嬢、なに、心配することはありませんぞ。ニコライ、至急騎士団へ報告を。
マリーベル嬢には護衛をおつけするのだ。」
「神官長、マリーベル様を引き留めるのですか?」
「せっかく神殿へ来られたのだ。マリーベル嬢ももう少し様子を見られてはどうかな?」
「そうですわね。私は…
もう少しこちらにいたいです」
花が置かれていたことに対して、不気味ではあったけれど、直接何かされたわけではない。
なぜあんなことがあったのか、気になるし、それにやっと面倒な煩わしさから解放されたこともある。
どうしても、このまま留まりたい気持ちの方が強かった。
「マリーベル嬢もこうおっしゃっている。ニコライ、護衛が来るまではお前がお守りしろ。分かったな。」
「ですが神官長!。
はぁ…マリーベル嬢、仕方がありません。ひとまず退室しましょうか」
「はい、失礼します。神官長さま」
マリーベルは挨拶をした後、ニコライと共に退室した。
「とりあえず、マリーベルさまの部屋に戻りましょう。その前に、騎士団へ報告に誰か向かわせましょう」
「はい。分かりました。よろしくお願いします。」
ニコライは神官を呼び止めて、騎士団へと報告へ向かうよう指示していた。
「それには及びません。お久しぶりです。マリーベルさま」
ぞろぞろと数名の騎士と共に、見たことのある男性が近づいてきていた。
あの方は━━
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます