第12話
午後の日差しがやわらかく差し込む部屋の中で、桃花とも優華は並んで机に向かっていた。参考書とノートが広げられ、シャーペンの音だけが静かに響く。
「ねえ、桃花。この問題、どうやって解くの?」
優華が困ったようにノートを指さす。数学の問題に眉をひそめる彼女を見て、桃花はノートを覗き込んだ。
「これはね、まずここの公式を使うんだよ。それから……こうやって整理すると、答えが出るはず!」
桃花はサラサラとノートに図を描きながら説明した。優華はしばらく考え込み、やがて「あっ!」と声を上げる。
「なるほど! わかった、ありがとう桃花!」
「ふふっ、良かった。」
桃花は誇らしげに微笑んだ。だが、しばらくすると優華はノートを閉じ、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「ねえ、ちょっと休憩しない? ゲームしようよ!」
「いいね!」
桃花も乗り気になり、二人はゲーム機を手に取った。画面には派手なエフェクトが映し出され、スピーカーから軽快な音楽が流れる。
「よし、負けないからね!」
「私だって!」
ゲームが始まると、二人の真剣な表情が画面に映る。だが、時折、お互いのプレイにツッコミを入れたり、笑い合ったりしながら、部屋には楽しげな声が響いた。
「このままじゃ負けちゃうよ、桃花!」
「本気でいくから!」
コントローラーを握りしめ、夢中になってプレイする二人。気がつけば時間はあっという間に過ぎていた。
そんな中、ふと優華がゲームの手を止め、小さくつぶやいた。
「ねえ、私たち、喧嘩したことあったよね。」
桃花は一瞬、驚いたような表情を浮かべたが、すぐに過去の記憶をたぐり寄せる。
「あったね……。あの時は、本当に困った。」
「でも、桃花が謝ってくれたから、こうしてまた一緒にいられるんだよね。」
優華の言葉には、温かな感謝の気持ちが込められていた。桃花は微笑みながら、そっと優華の肩を叩いた。
「私も、優華がいてくれてよかったって思ってるよ。」
「これからも、ずっといてくれる?」
優華は少し不安そうに尋ねた。桃花はまっすぐ彼女を見つめ、力強く頷いた。
「もちろん! だよ。」
二人は笑い合い、再びゲームの世界へと戻った。画面の中では激しいバトルが繰り広げられているが、それ以上に、二人の間には確かな絆が存在して、午後の日差しは穏やかに差し込み、二人の未来を明るく照らしていた。
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