第34話

ぅきゃぁぁぁぁぁ~~~~~~!!!!!ぃやぁぁぁぁ…




廊下が震える。



いや本当に、その叫び声で窓が震え、ドアもカタカタカタと小刻みに音を出した。




あんぐりもあんぐり、開く穴は全て開いて重なったまま目の前にあるその顔を見る。




「じゃ克穂。そゆことで」



あたしの隣をすりぬけて、奴の肩にポンと手を置いて去っていく。




通り過ぎ様に合わせた二人の目を見て、あたしは背筋に冷たいものが通るのを感じた。





(あ…あたしって………)




途方に暮れながら天井を見上げた。




(お母さん…もしかしたら安産のお守り、必要かもしれません)



奪われてばかりの唇に、高校生活初日から身の危険を感じっぱなし。




悲鳴の渦に巻き込まれながら、あたしは小さく肩を落とした。




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