第31話

「千亜稀さん。こんな所で何しているのですか?」




クソ王子の取り巻きの一人。



柔らかい髪を縦に巻いた、お○夫人を思い出す風貌。



派手めの顔が、白い肌のお陰で一段と際立って見える。



瞳の大きさに恐れ入った。




「いやぁ…何と言うか…」



「あ、俺がちょっと呼び付けちゃって」




そう言って後ろから、被さるようにあたしに手を回す。



お○夫人の眉がピクリと動いた。




「克穂様はご存知のことで?」



「何でいちいち克穂に通知しないと行けないのー?」




ピキピキと動く額。




(あ…あんたもアホな男だねぇ…)




あたしは同情の眼差しであたしの肩経由で腕を下ろすその男を見た。





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