第28話

「村岡千亜稀?」



いきなり引っ張られた腕に

いきなり呼ばれた名前に

まず目の前に立つ知らない男の人に

あたしは心底驚いた。



(び…ビビッたぁ)



バクバクと鳴る胸に片手を置いてその人を見る。




クソ王子に比べると男らしい顔付き。



りりしく上がった眉の下、強気な瞳が男らしさをかもし出す。



少し焼けた肌と硬そうな短髪の黒髪が爽やかな印象を与える。



人によってはこちらが好みという人もいるだろう。



まぁ一言で言えば「かっこいい」



驚きながらも冷静に分析する。





「アンタが克穂引き当てたラッキーガール?」



素っ気なくあたしを見る。




経験のないあたしでも分かる「全く興味のない瞳」




(なのに何でここに引っ張ったのよ…)




イライラと見つめると


「なるほどね」


と呟いて光の方へ歩いていく。




(はぁ?!かなり感じ悪いんスけど!)




振り回すボンボンばっかりで、あたしは口をパカッと開けるしかなかった。





「「キャア!充様ァ!」」



その姿に集まる悲鳴。




次々に移り変わる現状に…あたし…ついていけない…




.

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