第7話
その声に3人してハッとする。
数メートル先、シャンデリアの下に敷かれた赤い絨毯の上。王子様椅子に座っている一人の男の人。
白いスーツを着て、長い足を組んでいる。その上に優しく掛け合わされた長い綺麗な指を置いて、にこやかにこちらを見ている。
くるんと長いまつげが、その奥に輝く瞳を引き立てる。
上品にセットされた少しくせのある長めの髪。
血色のいい薄い唇は口角を上げて微笑んで、細い顎が儚げで優雅な印象を与える。
周りには、4人の可愛く綺麗な女の子が、その人と一緒にこちらを見ていた。
「三瀬くん、その子が例の子?」
にこやかに笑う顔は、死角なし。全身から感じるオーラは下手な芸能人よりよっぽど光るものを感じさせられた。
「は、はい。佐伯原様」
(様?)
「そう。じゃぁ僕が案内するよ」
「いえいえ!そこまでが私達の役目ですから!」
ふるふると手と頭を震わしている。
「おばあさまには僕から伝えておきます。あなた達は精力尽くして業務にあたったと」
「ありがたきお言葉」
…一瞬、本当に昔の西洋文化に紛れ込んだかと思わせる二人の対話にあたしは意識を奪われていた。
…違う。その綺麗な王子様に視線も心も意識も奪われていた。
(かっこいい…)
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