第6話 開幕
東京都北7区 超能力計測場
計測場とは言ったものの見かけはただの大きな体育館。
対超能力用に特殊加工された異常に耐久性の高い器具が設置されていて、この場所は4ヶ月に一度ある超能力測定の時にしか使われる事はない。
よって普段は超能力者が訓練したい時に申請すれば使える修練場として開放されていた。
計測場のドアを開けると、中央には山吹色のブレザーを着た女子高生が1人。
前に会った時はおろしていた髪を今日は結んでいるが間違いない。
『
「ここなら能力を使っても周りに被害を与える事はない。思いっきりやれるでしょう?」
「……お前、被害とか考えてたのか?あんだけ電柱引っこ抜きまくった癖に。」
「失礼ね。あの日はちょっと頭に血が上ってただけよ。」
あれをちょっとで済ませていいのだろうか?
まあ超能力者が現れて以降、この前みたいば街中で能力者が暴れ回るなんて事件は偶にある。
そういう時の為、という訳ではないが修復用に雇われた超能力者なんかもいるらしいからどんなに壊れていても1日もあれば元通りになりはするのだが…やっぱりこの前のはやり過ぎだ。
「さ、始めましょう。ルールはそうね…この計測場内にある物はなんでも使っていい。相手に負けと言わせるか動けなくしたら勝ちっていうのはどう?あ、ハンデとしてあんたは私に触れたら勝ちでいいわよ。」
これは……完全に舐められてるな。
いや、舐められているというよりお互いの力量の差を正しく評価した結果か。
1級と6級ではこれだけの差があるぞ。
そう言いたいのだろう。
「OK、それでやろう。ところで勝ったら何か商品でもあるのか?何も無しってのなるとちょっとモチベーションがなぁ…」
「はあ!?全くがめつい男ねぇ。……よし、決めた!ありえない話だけど、もしあんたが勝ったら何でも好きな願いを1つだけ聞いてあげる。これでどう?」
「俺が負けたら?」
「そんなの当然の結果だからジュース奢って貰うくらいでいいわよ。」
——別に期待してなかったけど思ったよりかなりいい条件だ。言ってみるもんだな。
「よし、乗った。」
勝てば何でも言うことを聞かせられる、負けてもジュースを奢るだけ。
勝利条件も俺は触れるだけでいいときた。
正直言って特訓はしたけどまだ勝てる気はしなかったし、怪我もしたくないから逃げようとも考えていた。
だけどこれだけの好条件なら、頑張ってみる価値はあるかな。
「じゃあこのコインが床に落ちたら始めましょう。それじゃあ……行くわよ。」
コインが遥か上空へと弾かれた。
回転しながら落ちて行くコインは僅か3秒程で床に落下し、金属音を響かせる。
戦いの幕が今上がった。
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