第6話
「どうしてこんな場所で死んだんだよ」
下に転がる澤田の死体を思い浮かべながら村瀬は毒づいた。
澤田の携帯電話も、里美と呼ばれた女も、両方を見失ってしまった。
それは同時に、重大なヒントを無くしたことになる。
絵理香に似た容姿の女が携帯電話に映し出されているのを見つけたのは、会社の同僚が死ぬ直前だった。
土屋 光敏の携帯電話の画面に絵理香がいた。
普段、人の携帯電話を覗き込むような悪趣味はない。
だがその時だけは妙に気になった。
土屋の様子が尋常ではなかったからだ。
着信履歴を確認するでもなく、メールを確認するでもなく、ただ虚ろな眼差しのまま、画面を凝視していた。
「土屋?」
そう声をかけたことを覚えている。
だが、土屋は村瀬の問いには答えず、取り憑かれたように画面に食い入っていた。
何を見ているのだろう……。
土屋を心配するよりも、好奇心が画面を覗かせた。
瞬間、心臓から一気に頭へと血が送られた。
眼球がチリチリと痛んだ。
そこに映し出されていたのは、1週間前から連絡が途絶えていた妹の絵理香にそっくりな女だった。
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