第30話
里美は1つ身震いしてから、携帯電話に目線をやった。
先ほどまで静止画だった携帯彼氏リクは、今は画面の中で自由に動いていた。
やはりラブゲージがなくなると、携帯彼氏は動かなくなるようだ。
「ちょっと! どういうことなのか言いなさいよ
!」
「あの時の電話は一体何なの?」
里美と由香がいっせいにリクに向かって話しかける。
リクは戸惑った表情を浮かべ、頭を掻いた。
「はじめまして。名前はリクです。あのー、ボクの彼女はどちらでしょうか?」
照れ笑いを隠しながら、リクは里美と由香を交互に眺める。
「とぼけないで、さっさと答えなさいよ!」
里美が怒鳴ると、天井に設置されているスピーカーから、甲高いノイズが響いてきた。
テーブルの上に置かれているマイクがオンになっていたようだ。
里美は乱暴にマイクを拾い上げると、電源を切ってソファーへと投げつけた。
「真由美のこと、話して!」
里美は先ほどよりも少し抑えた口調で言った。
「真由美って誰?」
携帯彼氏リクは再び頭を掻いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます