第29話

でも……。


里美がリクを取り込まなければ、真由美の死の真相を暴くことはできない。



『真実が知りたい?』



この言葉が、里美を支配していた。


真実が知りたい。

いや、知らなくてはならない。真由美に約束したのだから。


「じゃ、やろう」


自分を奮い立たせるように、大きな声を出した。


由香が真由美の携帯電話を握り、里美の携帯電話へと近づけた。


「いくよ、せーの」


由香の掛け声に合わせて、通信ボタンを押す。


画面に表示されているゲージが、徐々に満たされていく。





        完了しました





画面にそう表示された瞬間、足元からひんやりとした風を感じた。


それは膝あたりまで来ると鳥肌に化け、全身を駆け巡った。


――何、この感じ……?


里美の寒気は少しも収まる気配はない。


「怖い」


里美の手は震えた。


背中に気配を感じる。


肩が急に重くなり、呼吸が不規則に荒くなった。


空調を送風から温風に変えてみたが、里美の寒気は続いたままだ。

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