第24話

オフィスに着くと、みんなが私に向かって頭を下げて挨拶してくる。



ーーそう。


私はこの歳で、異例の出世になるらしい。

この歳で中間管理職、しかも女性はこの会社では初らしく、部下には『鬼の係長』なんて呼ばれてたりする…。



特に出世欲があった訳では無いけれど、元々好きな企画の仕事にのめり込んでいる内に、いつの間にか係長にまで昇進していた。


幸希と付き合っていた時から、係長に昇進していた私は、自分の役職が原因で幸希とギクシャクしたことも何度かあったくらいだ。



でも、あくまで仕事が好きで、仕事をする時だけ仕事モードに自分が切り替わるだけで、



……本来の私じゃ、ない。



でも、会社の人間は皆、私がお堅い鬼係長としか知らないので、今更素を出すのも面倒で、そのまま仕事モードのままの私を演じてたり…する。



だから私にとって、素をさらけ出せてしまう翡翠様のお寺は、癒しの場だったりもするのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る