第27話

「まぁ、七美の責任感の強いところは良いところだと思うんだから、後はもう少し落ち着く事と、周りの話に耳を傾ける事ね。」



七瀬が顔を少しこちらに傾けて微笑んだ。


七瀬は、こうやってよく人の長所を褒めてくれる。

その上で、足りない部分を指摘してくれるから、素直に話を聞こうと思えてくるのだ。本当、良き親友に私は巡り会えたと思う。


七瀬と今日の夜ご飯の話で、あそこが良い、いやあっちも良いよね、なんて景色を見ながら話していると、いつの間にか会社の駐車場まで到着していた。


またもやバックで車を入れる七瀬に、さっきの話の続きを聞いてなかったと思い出した。



「あ、ねぇ。さっき、A商事の駐車場で言いかけてた言葉って何だったの?」



私のセリフに七瀬が「ああ」と、肩を竦めて少し小馬鹿にしたように笑った。

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