悪友三人衆

第28話

??? side




一目見た時から心に決めていた。


アレは、私のものだと。



何としてでも、手に入れる。


例えどんな手段を用いようとも。






















気分は崖の上のバンビ。


もしくは生まれたてのヒヨコ。


はたまた毛を刈られたアルパカ。



何にせよ、今の俺の状態よりはマシだと思う。






誠 side






「膝枕は一学期までの契約じゃなかったのかい?何でまだあんな事してるの黒崎君?」



「こっ交換条件っつーか、なかなか仕事が終わらないんで会長のやる気を出させる為に仕方なくっつーか。」




さっきまで腰掛けていたソファーの上に横向きに正座中の俺。



そんな俺の正面には同じソファー上に座るプリンスが。


人差し指を立てながら懇々と俺にお説教中だったりする。





「補佐だからって君がそんな事までする必要ないんだよ?


それに二人きりだなんて隆義は節操がないんだから、襲われでもしたらどうするんだい?」



「おっ俺自分の身を守れるぐらいには腕っ節強いんで、大丈夫かなって思いまして…」



「うん、いざって時には殴っても蹴ってもいいからね。俺が許すから。


けど俺が言ってるのはそういう事じゃないって分かってるよね?」



「…ハイ、」




膝枕後の正座で正直俺の両足は限界を越えてますが。


さっきから太ももがぷるぷるしてますが。



お怒りのプリンスを前に足を崩すなんて事できません。


ブリザードは一度だけで十分です二度目は御免なのです。



つか殴っても蹴ってもいいって…。


仮にも生徒会のトップ相手に許可しちゃうのはいかがなものかと…





(いやするけど、もしもの時には顎にアッパー入れちゃるけど。)




そういやノエルちゃんにも似たような事言われたような……うん、心配性な大型犬に膝枕の件は黙ってよう。



同じ事をまた違う人にお説教されんのは、メンタル的にキツすぎるもの。


ブリザードは一度だけで十分です二度目は御免なのです。





「…聞いてる?黒崎君。」



「聞いてますですっ!」




思わずシュバッ!っと片手を挙手。

にこにこ笑顔のプリンスが怖い。

優しい口調なのが逆に怖い。


ちなみに俺がお説教される原因となったバ会長は、向かいのソファーで煙草を吹かしながら寛いでいる。



納得がいかない。


なぜバ会長は無罪放免で、イイコちゃんな俺が怒られにゃいかんのだ。

理不尽すぎる。正義はいずこへ。



もう一度言おう。

納得がいかない。

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