第26話

やっぱ原因はなんちゃら王国から来たっていう美里の婚約者だよな、と。


そう思ってビジネスパートナー兼友人だっつーバ会長に、無意識の内に話を振ってたわけなんだけど…。



うん、早まったな俺。

せめてプリンスに相談すべきだったな俺。

バ会長に言ったって、まともな答え返ってこないの分かり切ってただろうに俺。





「つか前から思ってたんだけど、会長ってよく美里に手ぇ出さなかったよね。」




書類を捲りながらポツリと一言。


茶髪ヤンキーの下半身のだらしなさを知ってる俺は、前々から疑問に思ってた事を口にした。



確かトキが言ってたよな、会長サマは無類の美形好きだって。


にも関わらず天使的美少女の美里が今まで無事だったのが、俺的にはかーなーりー不思議なわけで。





「ああ、女の処女は面倒臭ぇからな。」



「…?『女の処女』って意味が重複して…、ああいややっぱ何でもないデス。」




わざわざ『女の』って強調された意図を悟る。


俺を見上げながらニヤリと笑われちゃ嫌でも悟る。



つか女はダメでも男の処女はオッケーなのかよ。


処女の美少女よりモッサリオタクな男に食指が動くってどういう事よ。



ちなみに俺を襲った物好き変態第一号は赤鬼だけど、第二号はアンタなんだぜバ会長。


赤鬼が居なかったら変態の称号はアンタのもんだったんだぜ、残念だったなバ会長。





「そんなんだから周りにゲテモノ食いって言われんだよ、アンタ。」



「フランス料理ばっか食ってたら、たまにはラーメンも食いたくなんだろうが。」




最っ低な例えだけど。

全国のラーメン屋さんに謝れって言いたいけど。

会長がラーメン食った事あるってのに驚きだよね。


麺を啜る姿とか、想像できそうで全く画が浮かばないんだけど。



…あーもう。


会長が余計な事言うから、めっちゃラーメン食べたくなっちゃったじゃんー。





「てか会長いつまで寝てるんスか、起きたんならさっさと退いて下さい。


アンタこの後夜会か何かに出る予定なんでしょ、桐原先輩がもうすぐ迎えに来る時間ッスよ。」




ぺちぺちぺちと。


バ会長の額を軽く叩きさっさと起きるよう促す。



ええ、ええ、もうお気付きの方もいるかと思いますが。


全くもって働かないバ会長に俺が取った対策は、いささか短絡的なもので。




ええ、俺の太ももに会長サマの頭が乗ってますけども何か。


ええ、労働時間イコール膝枕時間で手を打ちましたけども何か。



ワンパターンっつー言葉は受け付けません聞こえません。

俺のMPじゃこの技が限界ですライフはほぼゼロです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る