第25話
けど生徒会は生徒会で、その忙しさは他の比じゃなくて。
パレードの手配から当日の警備体制の強化まで、やんなきゃいけない事が山積みで。
文化祭の日の為だけに海外から有名マジシャンやサーカス団呼んだりとか。
業者に委託してアミューズメント的なコーナーを設置したりとか。
臨海学校の一件もあるから、一人一人の身元もプリンスが先頭に立って徹底的に調べてる。
そんなプリンスと仕事をしてた俺は、プライバシー保護の重要性をヒシヒシと実感したよ。ヒシヒシと。
具体的に何があったかは言えません教えません。
頑張ってるプリンスを犯罪者にはしたくないからー。
(忙しすぎて、あれから美里や栗山ともゆっくり話す暇もねぇしな…。)
つーか、一番知りたかった事聞き損ねちゃったな…。
結局のとこ美里と栗山の関係ってさ、単なる仲のいい幼なじみ?
前に親同士が決めた許婚だとか聞いた事あったけど、やっぱあれって単なる噂だったのか?
少なくとも栗山が美里に向けてる感情って、やっぱ恋愛感情だったり…すんのか?
「無ぇな、乳臭さと青臭さが抜けてねぇアイツ等が色恋なんざ始められるわけがねぇ。」
「…会長って、いつも一言余計だよね。」
赤の塔最上階、とある一室。
ポロリと零した俺の疑問に答えたのは、相変わらず顔だけはいい学園の王様でした。
時は放課後、外はすっかり暗くなってしまった時間帯。
今日中に風紀に回さなきゃいけない書類の最終チェックをしていた俺は、膝の上の茶髪頭に呆れのため息を吐いたのだった。
「栗山は人並みに経験はあんだろうが、月岡はありゃ完全に処女だな。
何だ黒頭、テメェでフっといて今更惜しくなったのかぁ?」
「…話をすぐシモの方に持って行こうとすんの止めて下さい。
友達として心配してるんスよ、友達として。」
バ会長の下世話な言葉に頭痛を覚え、口端がヒクリ。
けど話のきっかけを作ったのは自分なだけに、俺は平静に言葉を返すだけに留めた。
全く、毎回毎回すぐさま本題をズラすのはいかがなもんかね。
主に下ネタ方面に、ある種の才能って言ってもいいと思うよ。
いやコイツに話を振った俺も俺だけどさ。
それだけ美里と栗山の事が心配なわけで。
(気のせいかもしんねぇけどあの二人、なーんか微妙に距離置いてるような気がすんだよなー…)
脳裏を過ぎるのは、教室や生徒会室で目にするえんじぇると若武者の姿。
以前と同じように二人一緒に居るものの、間に漂う空気は普段と違うような気がして…。
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