着々と
第24話
衣替えが終わり、制服も冬服仕様へと切り替わった十月下旬。
つっても日中は肌寒い日もあればまだ少し暑い日もあって、カーディガンやセーターを着用してる鈴蘭生がほとんど。
ブレザーを着てる生徒はまだいない。
そんな些細な日常に季節の変化を感じる今日この頃。
鈴蘭祭まで一週間を切り、学園内の慌ただしさは最高潮に達していたのでした。
誠 side
「おーい板足りないぞー!誰か本部に行って余り物ないか聞いてきてくれー!」
「発注したカーテン届いてない?今日中に取り付けないと間に合わないわっ!」
あっちへバタバタ。
こっちへバタバタ。
休み時間になる度に大勢の鈴蘭生が廊下を行き交い、一秒でも惜しいと言わんばかりに出し物の準備に追われていた。
模擬店を出すクラスもあれば、自分達で創作した絵画や彫刻を展示する部もあったり。
四つある体育館をそれぞれ貸し切って、演劇やファッションショーを開催するところもあったり。
それだけ聞いてりゃ普通の高校の文化祭と変わりねぇって思うんだけど。
中には本格的な喫茶店やレストランを出したいってクラスもあって…
「料理人雇いたいって生徒会に申請がきたんだけどさ、それって反則じゃねーの?
自分達で料理しなきゃ文化祭の意味なくね?終わった時の達成感湧かなくね?」
「ん〜鈴蘭祭じゃ企画発案や出品物の意外性とか〜、文化祭当日の接客や運営の手際とかが重要視されるからね〜。
野外に出す露店以外の飲食関係の店は、プロのシェフを雇うのが普通だよ〜。」
…そんなもんか?と。
首を傾げながらもトキの言葉に納得してしまった俺は、【鈴蘭】の毒に感覚が麻痺してしまったようです。
いやいや普通の文化祭にプロシェフは居ねぇよってすぐに気付いたけどね。
いわゆる一人ノリツッコミっつーやつです。
ちなみに俺のクラスは衣装の貸し出しとかをするらしい。
教室内にセットをいくつか作ってそこで写真撮影とかするらしい。
とどのつまりコスプレ写真館。
ホント好きだよね、ここの生徒。
コスプレとか。
ハロウィンが近いからジャックランタンや狼男の被り物とか、吸血鬼や魔女っこの衣装とか大量に用意してるらしい。
…何で全部伝聞口調なのかっつーと、生徒会の仕事が忙しいやら何やらで。
文化祭の準備が活発になる放課後、クラスに全然顔を出せてないんだよね。
(うちのクラスだけ生徒会と風紀合わせて五人も抜けてんだよなー…。)
全然人手が足りないっつって、小林さんがボヤいてたっけ。
ごめんよ委員長。
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