第31話

小さい頃から地元のヤンキーを見慣れてるから、俺がこの人の外見に尻込みする事はなかったけど。


パツキンのヤンキーが金持ち校の生徒ってのに、ちと違和感が。



いやでも、金髪だからってヤンキーとは限らねぇか。

それに金持ちの坊っちゃんだって、髪くらい染めるよな。


三鷹さんだって実家金持ちだけど、若い頃リーゼントでバリバリのヤンキーだったし。





「俺の名前は、




半田 雅貴(ハンダ マサキ)。




三年で、太陽寮の寮長をしている。」




りょーちょー、寮長…。


って、これから俺が入る寮の寮長って事か。



ニカリと笑顔を浮かべながら話す姿はやっぱり男前で、派手な外見とは裏腹に気さくな雰囲気が醸し出されてる。





「理事長から連絡があってな、下で外部生拾って学園まで送るよう言われてたんだが。


まさかここまで自力で来ちまうとはな、驚いたぜ。」



「えっと、お手数をおかけしまして…ありがとうございます?」



「ははっ、意味繋がってねぇぞ。」




うん、男前。


理事長が連絡したって事は、この人はしのちゃんが寄越してくれた人って事で。



それが分かって、ようやく俺の疑問が解消。

俺の名前知ってたのも、しのちゃんに聞いてたからって事か。


そういや下に着いたら電話してって、しのちゃんに言われてたっけ。

うっかりうっかり、忘れてたや。





「俺は黒崎 誠です。


もう知ってるみたいッスけど、今年入学する一年坊主です。


これからよろしくお願いします、半田先輩。」




そこでようやく俺も自己紹介。



今更必要ないかもしんねぇけど、寮長って事はこれから色々と世話になる人だし。


何事も最初が肝心。



目上の人は敬いなさいって、師匠や母さんにしこたま躾(シツケ)られてきたから。


身に染みた条件反射から、俺は半田先輩にペコリと頭を下げたのでした。



すると…





「あっはっはっはっはっ!」




なぜかまた半田先輩に、声を上げて笑われちゃいました。


半田先輩って、笑い上戸なのか?

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