第30話

―――……





「あー、久し振りだこんな笑ったの。」



「そっか、よかったな。」



「ははっ。そうだな、よかった。」




ようやく笑いの止まった金髪男は、よくよく見ると結構なイケメンくんでした。



三鷹さんとはまた違ったワイルド系。

ちょいつり目で金髪ロン毛が似合う男前な顔立ち。


前髪を軽く後ろに流して、革ジャン羽織ってる。

厳ついバイクに跨ってる姿がサマになってるよ、うん。



そんな風に俺が男を観察をしてると、笑いの止まったソイツも俺をジッと見てる事に気が付いた。


なになに?そんな見てもなんも出ねーよ?





「お前、外部生の黒崎だろ。」



「……」




そのセリフにちょいビックリ。


モッサリとした前髪の奥で目を見開く。



初対面の相手にズバリ名前を当てられたのも去る事ながら、断定して聞いてきてる事に疑問符が浮かぶ。



え、何者だコイツ?

何で俺の事知ってんだ?


つか、爆笑処理が先決でなおざりになってたけど。

そういやマジで誰なんだろ、コイツ。





「そう…ですけど、…上級生ッスか?」




その姿を上から下まで改めて見て、首を傾げながら俺はそう問い掛けた。


一本道のこの坂道をここまで上って来たって事は、俺同様コイツもこの門の先にある鈴蘭学園に用があるって事で。



見たところ、職員とか業者の人とかじゃなさそうだし。


歳も俺よりちょい上で、高校生って感じがするし。



何で俺の名前知ってんのかは、まだ分かんねぇけど。

この学校の生徒で、上級生になるんだろうなって予想できた。


だから遅ればせながら敬語で対応中。



うん、多分先輩。


うん、多分ね多分。





(……、先輩でいいんだよな?)




いまいち自信が持てないのは、【鈴蘭】が超が付くお金持ちの坊ちゃん嬢ちゃん校だって聞いてたから。


だってこの人、モロ不良なんだもん。

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