第33話

ヒヤマは日本人は自分だけと言っていたから、あの男も恐らく中国人なんだろう。


瞳の色こそ灰色だけど、顔形は東洋系だ。


だとしたら、彼も中国語を話すのか──。







そんなことを考えながら、開放された手足を伸ばしたり曲げたりして落ち着かせる。


そしてペットボトルに手を伸ばし蓋を開け、水を少し飲んだ。








これから、どうなるのか。


身代金の引き渡しは、いつ行われるのか。


聞きたくても、誰にも聞けない。


ただ、こんな風にお弁当を定期的に運ばれたりするなら、あの髭面の男より綺麗な男の方がいいなあ、と漠然と考えた。

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