アゲハ

第31話

「中田のこと見てるの?」










翌日のお昼休み、突然そんな声が耳に飛び込んで来た。


びっくりして前を向くと、綺麗にマスカラが塗られたユリナの長い睫毛の中の瞳がじっとわたしを見据えていた。


一気にわたしの耳に戻る、辺りのざわめき。


そこで気付いた。


お弁当に箸を付けるのも忘れて、振り返ってまで窓際の彼を見ていた自分に。






「アゲハ、よく中田のこと見てるよね。」


ユリナは、わたしを食い入るように見つめている。


「そうかなあ。」


小さく声を出したけど、わたしは内心動揺していた。

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