第29話
1年前、あの人に恋をした。
顔もわからない、年だってわからない男の人。
グレーのパーカーに、少し擦りきれたジーンズを履いていて。
いつも、噴水の脇に座って遠くからわたしを見ていた。
───ある出来事があって以来、彼はここには来なくなった。
それでも彼に会いたくて、毎日ここで彼を探した。
だけど彼はもうここには来る気配が無くて、その内父が蒸発してそれどころじゃ無くなって、一度はわたしは彼を探すのを諦めた。
でも数ヵ月を経てみたら──やっばり彼に会いたくて。
気付けばこの噴水の側のカフェを、バイト先に選んでいた。
でも彼は、やっぱり待てども待てども現れる気配が無くて。
その内に、いつしか心の中の彼の面影も薄れてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます