第1.5話.天体観測
「はぁ……」
「どうしたの?カフカくん」
「五月雨さん、!」
『さつきって呼んでって言ったでしょ!』とニッコリと微笑む五月雨。
「こんな夜に何してるの?」
「んー、私は月を見に来たの。ほら、この世界も空はあっちとあんまり変わらないんだなぁって、安心できるような気がして」
「……確かに。僕も何となく空見上げてたけど、安心する気がする」
「だよね。良かった共感してくれて」
二人で空を見上げ、数秒の間沈黙する。
「……月が綺麗だね」
「うん……ってえ!?い、今!!」
頬を桜色に染め、こちらを見る五月雨。
瞬く間に自分が今何を言ったのか理解してこちらも頬を染める。
「ちちちちちが、ちがくて!!あの、五月雨さんには、アラタがいるし、あの……ちがくて……」
「え?私たちはただの幼なじみだからね!!勘違いしないで!!私は……その……」
手をモジモジさせている五月雨に首を傾げるカフカ。
「と、とりあえず違うの!!」
「ぼ、僕もそういう意味で言ったんじゃ!!」
二人であわあわした後、数秒間見つめあったあと共に笑い出す。
「あーあ、おっかしーーー何かカフカくんと話してると本当気が抜けちゃうなーーー」
「ご、ごめん!!」
「悪い意味で言ったんじゃないよ。私いつもは優等生として、キャラを確立している……というか、普段は清楚系お嬢様!って感じ??だけど、カフカくんといる時はそんなことも忘れちゃうくらい楽しいんだよね」
隣のベンチに腰をかけ、顔を覗き込むように見つめてくる五月雨。
「あ、アラタに怒られちゃうよ」
「だーかーらぁーーー!アラタとはそんな関係じゃないってば!!大体何を聞かされてたらそんなことになるの!」
「それは……」
「さつきこんなところで何してるんだ……ってかカフカも一緒か」
絶妙なタイミングで渦中の人物が姿を現す。
「アラタ!」
「よっ。何の話してたんだ??」
「空はどこに行っても同じなんだなって話だよ」
「あ、あれあれ!あれみて!あれ夏の大三角形じゃないの??」
アラタは壁に背を預けふたりと同じように星を見上げる。
「どうだろうな。この世界の天体が地球から見えるものとまんま同じだったらそれも有り得るな」
「ちぇーつまんない回答だなぁ」
「それよりも行くぞ。明日も早いんだから、俺達にはこの世界を守るって義務があるんだ。特に俺とお前には」
「はーい……またねカフカくん」
背を向けたかと思えば、振り向いて手を振る五月雨。
「あ、まってアラタ!!明日少し頼みたいことがあるんだ」
既に動き始めていた。
カフカの運命を左右する大きな出来事は目前に迫っていた。
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