第3話 久しぶりの邂逅

 今日はオンライン授業の日だ。そのためいつもより30分ほど早く起きた。


 癖でトイレに行こうと扉を開けると目の前にはいつぶりになるかわからないママがいた。


 たぶん出勤の直前だったのだろう。


「え、」

「あ、え、あ、」

「「(お、)おはよう」」


 どっちの声だったか。はたまた重なったのか。


 ただ久しぶりに見たママは記憶の中と変わりはなかった。


「ひ、久しぶり。じゃあ、ママは仕事行ってくるから」

「ぅん、ぃってらっしゃぃ」






 話したのはたったの数秒。

 存外平凡なやり取りで拍子抜けだった。


 たぶんこれからも不意にこんな会話程度だったらかわすのだろう。


 けれどこれからも今回同様何かが変わることはないと思う。

 

 だって私は変わっちゃいけないから。













「今日の授業はここまでです。以前に比べてものすごい成長していますね紫水さん」

「ありがとうございます」

「これなら本当に・・・いえ、何でもないです。この調子で頑張りましょう」

「はい!」


 午後15時少し前にオンライン授業は終わった。

 今日はルイちゃんが来る予定もないし、ゆっくり漫画でも読もうかな。


「ピロンッ」

[紫水お疲れ様、今日の授業どうだった?

いつも通り画面はオンにしてないよね?]


ルイちゃんからのLINEだった。


[ルイちゃん!!

今日はね先生が「最近成長してるね」って褒めてくれたよ!

画面はいつも通りオフのままで授業受けたよ!]

[そう、よかった]


 ルイちゃんは今日も優しいな。先生が私の顔を見て気絶しないように心配もしてあげるなんて。






 今日も私はわからない。


 親の瞳に映る自分もお風呂の鏡に映る自分も。

 なにを考えてるのかわからない。自分自身の思考さえも。


 単純なはずなのに私自身がこんがらがせている。

 原因がわかっても何もしない。


 変われないんじゃない、変わるのが嫌なだけなんだ。


──────────────────────────────────────


ちなみにオンライン授業の先生も紫水のことはほかの一緒に受けてる子たちとは何かが違うなってのはなんとなく感じています。


精神攻撃っていうのはただの反発に過ぎず、精神を壊して作り上げれば非常識すらも常識にできるのかもしれません。


ここまで我慢して読んだそこの読者。次はルイちゃんと紫水のデートかもです。

存分に。



では、また。

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