第36話

「この男とは知り合い?」


「う、ううん、知らない」


「ということは、雇われた人間だね。……君は命を狙われているみたいだ。心当たりはあるかな」


「そんなの……猫の獣人、だからでしょ」


 


新は目を丸くしてから、悲しみを滲ませた眼差しで私を見つめる。

 



「モネ。君はその理由を受け入れているの?自分は猫の獣人だから殺されても仕方ないって、本気で思ってる?」



 

……いきなり胸の真ん中を射られたようだった。



心臓を突き刺されるような痛みが伴って、苦しくて喘いでしまいそうになる。



 


「俺はそう思わないよ。君は、こんなの理不尽だって怒っていいと思う」


「……お、怒っても、どうせ意味ないもん」


「どうして?」


「だって、殺されるってことは、私が生きることを誰かが望んでないってことでしょ。だから、殺されたってしょうがない」


「それは違う。君の人生は君だけのものだ。自分で望んで生きることを選んだのなら、それが一番正しいことなんだ。他の人間がどう思おうと、モネの人生とは関係ないんだよ」




 

新は一度言葉を切ってから、やさしい顔ではにかんだ。

 


 

「少なくとも俺は、君に生きていて欲しいって思ってる」

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