第12話

「ねえ!誰なの!?」



 

震える声で叫んでも、山は沈黙を保ったままだ。目に映る全てが、私の命を狙っているように感じる。ここは悪意で満ちている気がする。

 


私は恐ろしさで居てもたってもいられなくなり、森の中へと駆け出した。

 


足がもつれて何度も転びそうになりながら、暗い森の中を駆け抜けていく。とにかく逃げることに必死で、自分が大きな猫に変化していることに気づけなかった。途中の山道にバックパックは落としてしまったけれど、構わず闇雲に足を動かし続けた。


 


「……うっ!」

 



シュッと何かが横切る音がしてすぐ、右後脚がカッと熱くなった。


その強烈な痛みで頭が揺さぶられる。そのまま私の体は山の斜面に沿って転がり落ちていった。

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