第4話

「……ちょちょちょ!?」


 



慌てて布団を押さえる私を、男は不思議そうに見下ろしてきて、訳がわからない。

 




「うん?」


「いや、なにするの?」


「添い寝だよ」


「やめてください」




 

困ったような表情も絵になるけど、さすがに添い寝は受け入れられない。出会って間もない人間と寝られるほど私の神経は図太くないし、この男が信用に足る人なのかまだ分からない。



 


「でも、俺に隣で寝てほしいでしょう?君は寒いのが苦手なようだし」


「に、苦手だけど、隣で寝てほしいなんて思ってない」


「うーん、君が離してくれなかったんだけどな」


「え?」


「ほら」

 




彼の視線の先に広がっていた光景に、私の顔から血の気が引いていく。



…真っ黒で長い尻尾が、男性の手首にくるんと巻き付いていた。


 

人間にはついていないはずの体のパーツが、布団から伸びているあり得ない現象。それは私が普通の人間ではないことを証明していた。

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