第35話

引かれちゃったかな。


そっと様子を窺ってもその顔は無表情に近く、感情が読み取れない。



私だけがもどかしい空気を変えたくて口を開く。




「芹沢くんは私と話してて、緊張しないの?」


「…いや、あんまり」




話しているとその仕草や喋り方から余裕を感じる。


私はどうにか仲良くなろうと必死だけど、芹沢くんはそうじゃない。もちろんそれは芹沢くんとはまだ知り合ったばかりで、私は何とも思われてないからだとは思う。




「……他の女の子と喋る時でもそうなの?」




また引かれちゃうようなこと言っちゃった。


なんか今の私、面倒くさい女子って感じだ。




「基本女子と喋んないからわからないけど、俺、妹がいるから異性に耐性あるのかも」


「あ、前に言ってたね」




そっか。


妹がいたら異性と話す時もそこまで緊張しないのか。


なぜかほっとしている自分がいる。

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